「ガット弦の四重奏」

2025年5月23日(金) 19:30開演

髙岸卓人

ヴァイオリン

山本佳輝

ヴァイオリン

本田梨紗

ヴィオラ

武澤秀平

チェロ



入場料金:4000円



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〔会場〕
カフェ・モンタージュ ≫ 地図
京都市中京区五丁目239-1(柳馬場通夷川東入ル)
TEL:075-744-1070


【プログラム】


L.v.ベートーヴェン:
弦楽四重奏曲 第5番 イ長調 op.18-5 (1800)

F.J.ハイドン:
弦楽四重奏曲 ト長調 Op.54-1 Hob.III:58 (1788)


作曲家の"聴いていたもの"を求めて


作曲家の頭の中を覗く。当時の作曲家や演奏家は何を求めていたのか・・・

それぞれの作品を書いているときに作曲家が念頭に置いていた響き、頭の中で聴いていたものを求めて、楽器のタイプや弦、弓の選択、そしてそのための奏法の考証をしている中で、まず「ガット弦」を選択することは最初の必然となってきます。
そして、ハイドンとベートーヴェンの時代に特徴的で問題となってくるのは弓の選択です。いわゆるバロック弓と呼ばれる古い形式の弓も使われていたのと同時に、18世紀末フランスの名工トルテが作ったような新しいタイプの弓も出回っていたことを考えると、例えばヴァイオリンがトルテタイプでチェロの弓はバッハの時代の古いタイプということもあり得るわけです。
こうなると、古いタイプと新しいタイプのどちらの弓を採用するかどうかというところでは、議論と試行錯誤が発生することになります。古典音楽を演奏することがただの懐古趣味ではなく、現在進行形の楽しみとなってくるのはまさにこうした場面においてだと感じています。

ハイドンの時代といえば遠い過去のようですね。でも、一旦途絶えた、現代と別物と思われている歴史は、実は一度も途絶えることなくずっと時間は進んでいます。単に過去の特定の時間だけを切り取って解決しようとするのではなく、例えばハイドンの時代にも創作する現在と学ぶべき過去があった、そうした時間の流れの中で生まれた音楽というものを表現することができれば、時空を超えたリアルな空気感に触れていただけるのではないでしょうか。
今回も皆様にお聴きいただけることを楽しみにしています。

― 武澤秀平


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常に「先駆者」という役割を担い続けてきた長い時代は終わり、ハイドンの音楽に「成熟」、つまり一つの到達点を見出す方向に音楽受容は舵を切り始めているように思います。巨匠ハイドンの音楽をガット弦の鮮烈な響きとともに驚きをもって聴き、新たな刺激と感動が生まれる瞬間に巡り合う一夜になるのではないでしょうか。若きベートーヴェンによる機知にとんだイ長調の弦楽四重奏曲とあわせて、奥行きの深い弦楽四重奏の世界を存分にお楽しみください。

終演後にはレセプションがございます。グラスを片手に作曲家や作品、楽器のことまで、演奏家を囲んでの語らいのひとときをお過ごしください。皆様のご来場を心よりお待ちしております。


― カフェ・モンタージュ