「レチタティーヴォ」

2025年10月23日(木) 20:00開演

水野優也

チェロ

アンドラーシュ・モルドヴァーニ

ピアノ



入場料金:3000円



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〔会場〕
カフェ・モンタージュ ≫ 地図
京都市中京区五丁目239-1(柳馬場通夷川東入ル)
TEL:075-744-1070


【プログラム】


L.ヤナーチェク:
おとぎ話 FP.143 (1923)

Z.コダーイ:
チェロとピアノのためのソナチネ (1910)

B.バルトーク:
ラプソディ― 第1番 sz.87 (1928)

C.フランク = J.デルサール:
ピアノとチェロのためのソナタ イ長調 (1886)
 Allegretto ben moderato
 Allegro
 Recitativo-Fantasia
 Allegretto poco mosso



親密な空間で、フランクの原典版を

このたび初めてカフェ・モンタージュで演奏させていただけることを、大変楽しみにしております。数多くの名演奏家の皆さまが音楽を紡がれてきたこの場所で、私の音楽をお届けできることを光栄に思います。
私はこれまでハンガリーとオーストリアに留学しており、東欧の音楽には特別な親しみを感じてきました。今回はそうした東欧の作品に加え、名曲中の名曲であるフランクのソナタに初めて取り組みます。
共演するピアノのモルドヴァーニ氏は、ヨーロッパ留学時代からの親しい友人であり、今回が初来日となります。彼自身もこの演奏を心から楽しみにしておりますので、ぜひ親密な空間でともに音楽を味わっていただければ嬉しく思います。
会場にて皆さまのお越しをお待ちしております。


― 水野優也



チェロの水野優也さん、ソリストとしてそして室内楽奏者として幅広くご活躍、最近ではチェコで開催された"プラハの春国際音楽コンクール"にて見事第1位を受賞されたニュースも記憶に新しく、京都では京響のゲスト首席奏者として幾度かその演奏に触れて馴染みがあるという人も多いかと思います。
そんな水野さんから「是非このプログラムを京都でもお聴きいただける機会があれば」と素敵なご提案をいただきました。
水野さんのハンガリー留学時代の盟友が来日することで実現する今回の公演、東欧ゆかりの作品とフランクのソナタをお聴きいただきます。

フランクのヴァイオリンソナタといえば巨匠フランクの最晩年、若き名手イザイの結婚祝いとして献呈されたものとして知られています。1886年にブリュッセルで初演された後、1887年にパリのアメル社から出版されました。
その翌1888年の第二版の楽譜の表紙には"Sonate pour Piano et Violon ou Violoncelle"と大きく掲載されています。つまり「ピアノとヴァイオリンもしくはチェロのためのソナタ」という訳ですが、これは出版された年、つまり1887年の年末にパリ音楽院のヴァイオリン教授ギョーム・レミがこの作品を演奏した際、レミと弦楽四重奏およびピアノ三重奏の仲間であり同じくパリ音楽院のチェロ教授であったジュール・デルサールがこの作品に大きな感銘を受け、フランク自身にチェロソナタへの編曲を申し出て実現したことでした。
1887年の12月27日に聴き、フランクに編曲の許可をもらい、1888年の内に「ヴァイオリンもしくはチェロ」とタイトルを変えて出版されるところまでが1年以内に行われました。そのチェロパートには"Sonate pour Piano et Violoncelle (arrangée par Jules Delsart)"とすでに"Violon"が省略されて印刷されています。フランクがこの楽譜にサインをして友人に送ったこともあることから、フランク自身がデルサールの編曲版の演奏を聴き、それを支持してオリジナルのヴァイオリン版と並ぶ扱いを出版社に許可したのだろうということがヘンレ社のブログにも書かれています。 デルサールによるチェロ版の特長は、低い音域を効果的に使用することでより内省的な方向に音楽が向かうところと言えば良いでしょうか。 デルサールはショパンの親友としても有名な巨匠フランショームの跡を継いで教授になった、いわばロマン派本流の正統を伝える存在です。例えば第2楽章の最後のコーダにはベートーヴェンのソナタと響きが重なるような効果があり、19世紀終わりのパリ楽壇がチェロという楽器にどのような美しさの理想を見ていたのかと垣間見るようで、その意味でも大変興味深いドキュメントとなっています。

2013年にヘンレ社からデルサールのチェロ版がURTEXTとしてが校訂出版されたことで、作曲家フランクのオリジナル楽譜と並ぶ「原典」としてのアカデミックな位置が確立したということになります。
今回、水野さんがそのヘンレ版を使用されるという事で、いよいよ「デルサール版」をカフェ・モンタージュで聴かせていただける運びとなりました。
フランクのチェロソナタ、その「原典」を若き名手の演奏でそのまま聴く大変貴重な機会。皆様、どうかご注目いただけますと幸いです。


― 高田伸也 カフェ・モンタージュ

Live Streaming

ライブ音声配信

・最高峰の機材を使用した高音質配信です
・公演から1週間後までアーカイブ視聴可
*映像はございません

料金:1000円