Xとは、ローマ数字の10のことです。
ドビュッシーが唯一作曲した弦楽四重奏曲には、op.10という作品番号が与えられています。
ドビュッシーの全作品中で他に作品番号が与えられたものはなく、その唯一の番号がなぜ弦楽四重奏曲のもので、そしてなぜ"10"なのでしょうか?
ある日、京都大学の上田泰史准教授の研究室を訪ねたときのことでした。
研究室には所狭しと音楽関係の本が積んであり、なんでも最近あるコレクションを引き継いだところで、まだ全然整理が追いついていないとのこと。
これだけの本があれば、ドビュッシーのこの問題についてもなにかしら答えが見つかるのではないかと「なんで作品10なんでしょう?」と質問をしたところ、「この本に何か書いてるかも…」と取り出したるは一冊の大判の書籍。
「ドビュッシー研究の主なところはここにまとめられているはずです。えー、Quatour、、と、確かにop.10と書いてありますね、、」とページをめくり辿り着いたところのある一文(フランス語)を読んでくださるには「モーツァルトのハイドンセットがop.10とされていたことに関係があるかもしれないという説があるようですね。」
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モーツァルト!?
まったく予想外の名前に絶句したあと、ハイドンセットという古典的名作という点で他に並ぶもののない傑作と同じ番号を付すということが、ドビュッシーがこの弦楽四重奏曲に感じていた自信のあらわれだとすれば、そこには10という数字の一致以上の関連がひそんでいるかもしれないと思いなおしました。
こうしたことは録音された音源を並べるだけでは感じることは難しく、同じ場所において、同じ奏者がひとつの時間の流れの中で演奏するのを聴くことではじめて何らかの実感を得ることが出来るということをこれまでに幾度も経験してきました。
いつかそうした機会があればと思っていたプログラムが、今回実現することとなりました。
昨年の11月にブラームスの弦楽五重奏曲の素晴らしい演奏を聴かせてくださったメンバーによる待望のカルテット公演となります。皆様、是非聴きにいらしてください!
― カフェ・モンタージュ 高田伸也