カフェ・モンタージュで初めて演奏させていただいたのは、2021年。武澤秀平さんのヴィオラ・ダ・ガンバと、私のテオルボによるコンサートでした。モンタージュの高田さんに温かく迎えていただいたこと、そして、カフェの静かで居心地のよい空間が、今も印象に残っています。
あの日の演奏で特に覚えているのは、お客様と一緒に、少しずつ音楽の中へ入り込んでいくような感覚です。演奏する側と聴く側との距離が近く、静けさの中で音を分かち合う。その時間と空間にすっかり惹かれ、いつかここで、今度はリュートを弾かせていただきたいと思っていました。
リュートは、とても優しく、繊細な音の楽器です。置かれる環境によっては、「よく聴こえない」とさえ思われてしまうかもしれません。でも、私はその繊細さにこそ、この楽器ならではの魅力を感じています。リュートを抱きかかえるように構え、指の腹でそっと弦をはじく。その音は、すぐそばにいる人へ語りかけるようなものです。繊細な音色は、日々の喧騒を忘れさせ、静かに耳を澄ますよう招きます。そんなリュートの音と、カフェ・モンタージュの親密な空間は、きっとよく響き合うのではないかと思っています。
今回演奏するのは、ジョン・ダウランド(1563-1626)の作品です。エリザベス朝、シェイクスピアと同じ時代を生きたダウランドは、イングランドを代表するリュート奏者・作曲家の一人であり、今日まで最も広く親しまれてきたリュート音楽の作曲家の一人でもあります。
今年2026年は、ダウランドの没後400年。今回はそれを記念して、オール・ダウランド・プログラムをお届けします。私自身にとっても、ダウランドは長年演奏し続けてきた大切なレパートリーです。いくつかのブロックに分け、トークも交えながら、時に内省的で、時に軽やかで生き生きとした、ダウランドのさまざまな表情に触れていただければと思っています。
いつかここでリュートを、と願っていた場所で、その音にじっくりと耳を傾ける時間を、皆さまとご一緒できることを楽しみにしています。
― 瀧井レオナルド