Cafe Montage MONTAGE + plus

公演情報

開催日時


2024年1月28日(日)
19:00開演(18:30開場)

出演者


上田泰史:レクチャー


プログラム


・レクチャー
「ロマンティスムからモデルニスムへ - 音楽を通して聴く都市文化の変容」
・お茶会
(ハーブティーとお菓子つき)


公演内容


名手とうたわれショパンも憧れたピアニスト、カルクブレンナーをおさえて最優秀でパリ音楽院を修了し、1816年からパリ音楽院の教授を務めたヅィメルマンはグノーやビゼー、アルカン、フランクを育てた名教師であり、そのヅィメルマンが主宰したサロンにはショパンやリストなどが出入りし、クララ・シューマンも訪れたといいます。

そのように芸術を享受するうえで豊潤な環境に恵まれていたパリですが、他方では人口の急速な増加による住宅の密集によって疫病が頻繁に流行する衛生面の問題を常に抱えていました。
そして、おそらくはショパンの健康にも影響を与えたであろう、風通しと日当たりの悪い住環境をなんとかしなければいけないという、大都市パリが長きにわたって抱えていた課題に本格的に取り込んだのが皇帝ナポレオン三世です。
ナポレオン三世の命を受けて知事オスマンが世にいう「パリ大改造」を始めたのは、ヅィメルマンが亡くなる1853年のこと。

その4年後の1857年、ボードレールが詩集『悪の華』を出版しました。
「清潔」が強く求められ浄化という名のもとに、偉大な芸術を生んだ街並みが失われていくパリに突如出現し、時の人ユーゴーを震撼させた詩集はフランスのその後のあらゆる芸術表現に決定的な影響を与えました。
――『悪の華』出版の五年後に誕生した音楽家ドビュッシーが、故郷を出てパリ音楽院に入学したのは10歳の頃のこと。ショパンが生きた時代のパリはすでに面影なく、5年前に46年の生涯を閉じたばかりのボードレールが、大きな喪失の上にひとり立っていたのです。


19世紀のパリにおけるピアノ教育およびサロン文化の研究で東京藝術大学およびパリ・ソルボンヌで博士号を取得され、2022年から京都大学の人間・環境学科で准教授に就任された上田泰史さんをお迎えいたします。

ロマン派の全盛時代における都市文化を専門にされている上田泰史さんの目に映っている社会と芸術の関係、その先にある「モダン」と呼ばれる新時代への移行の意味。
かつての世における出来事を独自の視点で語っていただき、今とこれからについて皆さまと共に考えるためのレクチャーをお願い致しました。

レクチャーの中では、1889年ドビュッシーがまだ27歳の時に完成させ、その斬新さゆえか発表当時はほとんど評価のされなかった《ボードレールの5つの詩》にも言及されるとのこと。私個人にとっては全く馴染みのない作品、お話の中でどのように取り扱われるのかも楽しみの一つです。

レクチャーのあとには、上田さんを囲んでのお茶会も開催する予定ですので、広く皆様のご参加をお願いする次第です。


21世紀もはや4分の1に差し掛かろうかといういま、社会と芸術の関係について考えるのは好きだけれど、少し疲れた…?と感じています。ご縁があって上田さんをご紹介いただき、あまり語られることのないフランスのロマン主義から「近代」への推移について、含蓄に富んだお話を楽しく聞かせていただくうちに、これは一人で考えこむことではないのでは?と思うようになってきました。

ロマン派や象徴主義に造詣の深い方はもちろん、これからのこととして興味のある方もお楽しみいただける会に出来ればと思っています。どなたでも是非お気軽にご参加ください。
(カフェ・モンタージュ 高田伸也)


〜上田泰史さんよりメッセージ〜

音楽史の時代区分でよく耳にする「ロマン主義」と「フランス近代」。「ドイツ近代音楽」とはあまり言わないのに、どうして「フランス近代音楽」と呼ばれるのでしょうか。そしてまた、この呼称にはどれほどの妥当性があるのでしょうか。本レクチャーでは、1850年前後を境に永遠性を求めたロマン主義から、現実の儚さに注目するモデルニテへと移ろいゆく美学の変遷を、ボードレールの美術評論、ドビュッシーの歌曲を通して見ていきたいと思います。作品の鑑賞会・評論会などではありませんので、どなたでも是非お気軽に話を聞きにお越しください。対話をしたいという方も歓迎です。サロンの雰囲気の中で有意義な時間をともに過ごすことが出来ましたら、この上ないことと思っております。
(上田泰史)


入場料金

2000円




≫ 予約する ※本公演のライブ配信はございません


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場所

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