シューベルトを完成させる

すでに重要な歌曲を書いていたシューベルトが、満を持してはじめてのピアノソナタを書き始めたのは1815年の事、それはベートーヴェンが長い沈黙を破ってop.101とop.102のソナタを書き始めたのと同じ年であった。

二人の天才が生活していたウィーンという狭い街に、1815年、どのような色彩そして香りが振り撒かれたというのだろう。ある時代のはじまり、それはまさにウィーン会議の年であって、ヨーロッパ各国の重要人物がウィーンに齎した何かが、彼ら二人をしてソナタを書けと促したのだったのだろうか。 “シューベルトを完成させる” の続きを読む