ヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・ヴァシレフスキというのは、ライプツィヒでメンデルスゾーンやダヴィッド、そしてシューマンのもとで学んだヴァイオリニストで、シューマンが音楽監督としてデュッセルドルフに引っ越した際にコンサートマスターとして呼ばれ、シューマンの死まで傍にいたのち、最初のシューマン伝記となる本を書いた人である。
「あの作品を書いたときには、非常に怒っていた」と、シューマンはそのヴァシレフスキに言ったということなのである。
それは1951年の9月のこと、シューマンが何に怒っていたかの詳細は不明だ。