シューベルト、こちらへ

Du mußt es dreimal sagen.
「おはいり」、とファウストは3度言わなければならなかった。
オペラ「ルル」原作の冒頭の長台詞においても、ヴェーデキントは「おはいりなさい」と3度、猛獣使いにいわせている。

ウェーバーの「舞踏への勧誘」でも、大変に長い3度目の「おはいり」のあと、ようやく舞踏会への入口が開かれる。

ベートーヴェンも2度目の脅しつけるような「おはいり」のあと、3度目の「おはいり」が長く、そのまま追っかけ合いの舞踏会に突入する。

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モーツァルト – 1775年

「音楽が最も高度に完成した場合には、それはゲシュタルト(形態)となり、古代美術に備わっているような穏やかな力によって、私たちに働きかけてくる」とシラーが言ったのは、モーツァルトが死んでから数年後のことである。ゲーテはその完成形態が「ドンジョバンニ」であるとシラーに告げた。

ゲーテは続けて言った。
「ドンジョバンニはまったく孤立した存在です。モーツァルトが死んだために、このようなものが再び生まれてくるという希望は全て虚しいものとなったのです。」
シラーは沈黙した。 “モーツァルト – 1775年” の続きを読む