ショパン、ベートーヴェン

ショパンには2歳年下の妹がいた。

名はエミリア。音楽のショパンに対して、文学のショパンともなるべき才能を若くして示した彼女は、兄フレデリクとともに「文芸娯楽協会」を立ち上げ、会長に就任した兄の秘書を務め、演劇の台本を書いて共に演じた。

兄との共作「失策、あるいは見せかけのペテン師」では、迫真の演技で市長役を演じる兄フレデリクの横で、エミリアは作者役として座っていた。エミリアは人を笑わせることが得意で、病弱な兄とは違って常に快活であったのに、14歳にして結核にかかり、そのまま回復することなく2か月後に死んでしまった。 “ショパン、ベートーヴェン” の続きを読む

二つの歴史、モーツァルト

モーツァルトの音楽には二つの歴史がある。
一つは、それが作曲者の手によって書かれたことの歴史
そして、それらが世に知られるようになったことの歴史

1775年にミュンヘンで一息に書かれた6つのピアノソナタは、その為にお金を払う人もなく、長らくはまったく知られることのなかった作品であった。第1番から第5番までのソナタが出版されたのはモーツァルトの死後、1799年のこと…その前年にベートーヴェンは「悲愴」ソナタを書いていた。 “二つの歴史、モーツァルト” の続きを読む